SEOでのプロモート

 

SEOでのプロモート

試しに「相続税 上がる どうすれば」と検索してみてほしい。上位にはどんなサイトが表示されるだろうか。1位と2位には税理士事務所のサイトが表示されるが、3位にはYahoo!知恵袋のリンクが表示される(2015年2月2日現在)。3位以降も同サイトのリンクが多数表示されるなど、Yahoo!知恵袋SEO対策がしっかりされている。どのようにしてSEOに強い状態を作っているのだろうか。

SEOの目的は集客だからこそ、検索クエリからニーズのあるコンテンツを用意するのが一般的。ただしYahoo!知恵袋CGMのため、検索クエリからコンテンツを制作することはできない。そのためユーザーニーズをまとめるためにタグ機能を開発し、自然検索経由でユーザーが探し求めるQ&Aを表示させるように取り組んだ。」

タグはユーザーがつけるのではなく、ユーザーが書いた文章から自動的にテキストを抽出してつける機能となっている。タグを単なる分類ではなくユーザーが知りたいことから再構成するものと捉えた開発が、CGMとしてのコンテンツマーケティングを形作った。タグ機能SEO面を強化してきたYahoo!知恵袋だが、副次的な効果として回遊性の向上にもつながった。

「もともとひとつの質問に対し、回答を読んだらページを閉じてしまうという使い方が多かったが、タグがあることでページに関連したテーマをまとめることができて、サイト内の回遊性が非常に高まったといえるだろう」(Yahoo!

ユーザーのことを思う施策が確かな結果を導き出すことがわかる。
コンテンツは見込み客に届いた時点でようやく力を発揮し始める。そのためには、何をゴールとして設定し、どんなコンテンツを誰に届けるかという戦略を立案しなければ、最適なコンテンツ制作やプロモートを行うことはできないといえる。
ぜひ、自分のコンテンツ政策に取り入れてほしい。

 

コンテンツをより多くの人に届けるための、SEO・SNS活用法

 

コンテンツをより多くの人に届けるための、SEOSNS活用法

見込み客にコンテンツを届けるためにも、まずはコンテンツを拡散することが必要だ。SEOとソーシャルの両軸でコンテンツをプロモートしていくには、どのような施策を行うといいのだろうか。

ソーシャルでのプロモート

コンテンツを作っても見込み客に届かなければ、結果的にいいコンテンツだったとは判断できない。何のためにコンテンツを作っているのか、今一度考えてみてほしい。不特定多数の人に見られるコンテンツを作りたいのか、ある特定の対象にささるコンテンツを作りたいのか――自ずと答えは見えてくるはずだ。
R社では「リンクされた本数」をKPIに掲げたコンテンツを制作し、期間限定で公開していた。

「目的は“被リンク数の増加”だったので、リンクが集まらないと施策の効果は判断できない。たとえば、Facebookでいくら『いいね!』がついても施策が成功したとはいえない。目的に則したKPIを立て、確認していくことを重要視した」(R社)

「個人ブロガーに記事のネタとして取り上げてもらうには、どのようなSNSやサービスに露出すればいいのか戦略的に考えた結果、138本のリンクを獲得できた。うち個人ブログからは84本のリンクがあった。このリンク1本1本をお金に換算し、独自のロジックをつけてリンクの形態やページランク別に応じて80種類ほどに分けると、安いものでリンク1本100円くらいの金額になるとわかった」(R社)

書き手を大事にする方法

ユーザーがコンテンツを作り出していく形態のCGM(コンシューマージェネレーテッドメディア)では、自発的にコンテンツを書いてくれる人をいかに増やすかがキーになる。

Re社もCGMのひとつだ。口コミを書いてくれるユーザーを増やすために、どのような施策を行っているのだろうか。

CGMの要素を持ったサービスはSNSやスマホの普及で広がりやすくなったが、今では影響力の大きいクックパッド食べログなどがそうだったように、現在でも成長に比較的時間を要する。弊社もサービス開始後2年半くらいは、口コミを書いてくれるユーザーを増やすことを第一に動いていた。書いてもらう=サービスを使ってもらうことなので、マップやリスト機能の使いやすさを高めるなど、UI向上に注力してきた。また、ユーザーが友達からリアクションをもらったり、ランキング表示されたりするような、楽しんで使える仕組み作りも重要視している」(Re社)

誰しも気に入ったお店を見つけると、何らかの形で記録に残しておきたいと思うもの。Re社ではそういったお店のリストを作成・管理したくなるUIを目指すことで、自然と口コミ数が増える流れを作っているといえよう。

 

 

リスクヘッジ

 


リスクヘッジ

美健ビジネスに関わるメディアでは、厚生労働省が定める薬事法を加味した表現が求められる。とくに化粧品・医薬部外品は、使用可とされる表現が事細かく決められている。それぞれに定められた範囲内で表現されているかどうかが、重要な判断基準になっているのだ。

「すべてのコンテンツは薬事法に違反した表現が使われていないかどうか、社内で厳格にチェックを行っている。最近ではライターも薬事法に則った表現方法に慣れ、社内の薬事チェックで指導が入らないような文章を書けるまでに成長している」(B研究所)

事業会社が本業とは別にメディアを運営する場合、メディアで不確かな情報を公開してしまうと、会社そのもののイメージが低下したり、経営にインパクトを与えたりする可能性がある。誤った情報を出してしまうことがないよう、メディアではどのようなことに注意すればいいのだろうか。

「我々が最も大事にしているのは、企業が運営するメディアとしての信用・信頼を保つこと。そのため、ニュースの速報性を重んじつつも、裏取りを確実に行った上でソース元を提示し、誤解がない表記を行うよう徹底している。また、編集長がライターにメディアの方針やルールを丁寧に指導し、コピーアンドペーストや画像流用などの禁止などについて、理解を深めてもらうようにしている」。

「弊社で運営しているのはハウツーサイトなので、間違った情報を出すとユーザーの信頼をすぐに失ってしまう。そのため常にダブルチェック体制だが、著作権や肖像権など法律に関わる箇所は、いつも以上に強化して行っている」(N社)。

ライターとのコミュニケーション

運営者と制作チームとの密なコミュニケーションは欠かせない。良好な関係性を構築するために、どのようなことを実行しているのか。

「四半期ごとにライターと面談をして、記事に対するフィードバックを行っている。ライターに記事のPVやSNSでの拡散状況などを伝えることが、より影響力のある記事の執筆につながっている。また、月間MVP賞などの賞を設け、モチベーションをキープしてもらう取り組みも行っている」(N社)

コンテンツ制作をアウトソーシングしている企業とコミュニケーションを図る際には、仕事をすべてお願いするのではなく“協同”で制作する意識を持つようにしている。相手任せにするのではなく、お互いに意見を素直にぶつけ合うことで、企画がブラッシュアップされていくからだ」(B社研究所)

これから自社メディアを立ち上げる方へのアドバイス


「何かをイチから新規に立ち上げる場合、スピード感を意識しなければならない。そのためには社内で協力者を得る必要がある。『営業に対してプラスになる』『経営上、損にはならない』と思ってもらえると、社内でプロジェクトを進めやすくなるだろう。そこから立ち上げまでは勢いで進められるが、立ち上げ後はいかに継続するかが問題になる。“ゴール”とする内容を決めて、中長期的な計画を立てると継続しやすくなる」(F社)

「ユーザーときちんと向き合うことが何よりも大事だ。ユーザーの動きを丁寧に見つめ、提供する情報にこだわりを持ち、自分たちが作るサービスをどうしていきたいか、運営・制作に携わるメンバーひとりひとりが考えを持たなければならない」(N社)

 

 

コンテンツマーケティングで見込み客の心をつかむ方法

 

 

【コンテンツマーケティングで見込み客の心をつかむ方法】

見込み客との接点を生み出す自社メディアのケース・スタディ

正確にはBtoCではなくBtoBtoCの業態だからこそ、真にエンドユーザーを理解できているといえるのか――S社はこんな疑問を抱えていた。自社から直接エンドユーザーに商品を販売するわけではなく、間に流通や卸などいくつもの企業が入るためだ。

この疑問を発端として、同社S氏は「自社商品をいかに多く売るかではなく、まずはビール好きなファンと北海道を元気にする」目的で、HLを立ち上げた。会社のロゴも出さず、商品販売もしていないサイトだが、北海道が盛り上がればビールも売れるだろうと考えている」と立ち上げの経緯を振り返る。

コンテンツ制作は北海道在住のライター、カメラマンに依頼し、彼らが思う北海道の魅力、伝えたいものをアイデアとして出してもらい、形にする。運営・制作スタッフが東京と北海道で離れているわけだが、その物理的距離はどう埋めているのだろうか。

「先日は北海道で新年会を行うなど、ライター陣とは積極的にコミュニケーションの場を設けている。彼らが高いモチベーションを維持していると、コンテンツのアイデアも豊富に出てくる。離れていても良好な関係性を構築できていると感じている」(S氏)

レッドオーシャンな業界ともいえる生命保険業界。L生命は2008年開業の新しい企業だ。「開業時は認知がなくリスティング広告やリターゲティング広告などのネット広告に注力するくらいしか打ち手がなかった」とI氏。認知や集客の課題と向き合うために2014年8月に立ち上げたのが自社メディアだ。

「基本的に生命保険は結婚・出産・不動産購入など、ライフステージが変わるタイミングで検討する商品。日常生活で突然『保険に入ろう』と思い立つケースは少ない。自社メディアを運用する目的は、保険ニーズがまだ顕在化していない時点から接点を持つことにある。『L社はいいよね』と思ってもらい、いざ保険を検討するときに真っ先に弊社を思い浮かべてもらえば成功だ」(I氏)

顧客の約7割が2-30代であることから、ターゲットを30代に絞り、生活に役立ちそうな仕事や人生、お金に関わるコンテンツを提供している。週2回2〜3本ずつ新規のコンテンツを配信。立ち上げ後4ヶ月で、のべユーザー数は11万、平均セッション時間は2分10秒と成果は上々。ターゲット戦略が正しかったことが伺える。

また、旅行会社W社がこれまで抱えていた課題について、「SEOに強いキーワードを意識するとCVはよくても、アプローチできる見込み客の数が限定されていた。たとえば『ハワイに行って●●をしよう』と目的が決まっている見込み客は獲得できても、『ハワイに行きたいけど、向こうで何をしようか?』といったステータスの見込み客を取りこぼしていた」とT氏。

この状況を打破すべく意識したのは「潜在層の感情に訴えかけるマーケティング施策」だという。ライバルが多い旅行業界で価格勝負をしてもきりがないため、勝負の軸を意図的にずらしている。

「目的地ごとに旅行者をイメージし、現地で食べたいものや見たい世界遺産、イベントなど、旅行につながるキーワードを見つけ、サーチボリュームと照らし合わせてコンテンツを制作している。潜在層にささるコンテンツであれば、CVからは遠そうに見えるキーワードをベースに作っても構わない」(T氏)

見込み客の目的によってキーワードは異なる。たとえば「台湾 おすすめ」では具体的なコンテンツに落としにくいので、「台湾 九份への行き方」などコンテンツに落としやすいもの、ユーザーが求めているものをコンテンツ化することを心がけているという。「必ず売上が立つSEOに強いキーワード」「見込み客の気持ちに訴えかけるキーワード」の二軸からコンテンツを作っていることが、同社最大の強みといえるだろう。