リスクヘッジ

 


リスクヘッジ

美健ビジネスに関わるメディアでは、厚生労働省が定める薬事法を加味した表現が求められる。とくに化粧品・医薬部外品は、使用可とされる表現が事細かく決められている。それぞれに定められた範囲内で表現されているかどうかが、重要な判断基準になっているのだ。

「すべてのコンテンツは薬事法に違反した表現が使われていないかどうか、社内で厳格にチェックを行っている。最近ではライターも薬事法に則った表現方法に慣れ、社内の薬事チェックで指導が入らないような文章を書けるまでに成長している」(B研究所)

事業会社が本業とは別にメディアを運営する場合、メディアで不確かな情報を公開してしまうと、会社そのもののイメージが低下したり、経営にインパクトを与えたりする可能性がある。誤った情報を出してしまうことがないよう、メディアではどのようなことに注意すればいいのだろうか。

「我々が最も大事にしているのは、企業が運営するメディアとしての信用・信頼を保つこと。そのため、ニュースの速報性を重んじつつも、裏取りを確実に行った上でソース元を提示し、誤解がない表記を行うよう徹底している。また、編集長がライターにメディアの方針やルールを丁寧に指導し、コピーアンドペーストや画像流用などの禁止などについて、理解を深めてもらうようにしている」。

「弊社で運営しているのはハウツーサイトなので、間違った情報を出すとユーザーの信頼をすぐに失ってしまう。そのため常にダブルチェック体制だが、著作権や肖像権など法律に関わる箇所は、いつも以上に強化して行っている」(N社)。

ライターとのコミュニケーション

運営者と制作チームとの密なコミュニケーションは欠かせない。良好な関係性を構築するために、どのようなことを実行しているのか。

「四半期ごとにライターと面談をして、記事に対するフィードバックを行っている。ライターに記事のPVやSNSでの拡散状況などを伝えることが、より影響力のある記事の執筆につながっている。また、月間MVP賞などの賞を設け、モチベーションをキープしてもらう取り組みも行っている」(N社)

コンテンツ制作をアウトソーシングしている企業とコミュニケーションを図る際には、仕事をすべてお願いするのではなく“協同”で制作する意識を持つようにしている。相手任せにするのではなく、お互いに意見を素直にぶつけ合うことで、企画がブラッシュアップされていくからだ」(B社研究所)

これから自社メディアを立ち上げる方へのアドバイス


「何かをイチから新規に立ち上げる場合、スピード感を意識しなければならない。そのためには社内で協力者を得る必要がある。『営業に対してプラスになる』『経営上、損にはならない』と思ってもらえると、社内でプロジェクトを進めやすくなるだろう。そこから立ち上げまでは勢いで進められるが、立ち上げ後はいかに継続するかが問題になる。“ゴール”とする内容を決めて、中長期的な計画を立てると継続しやすくなる」(F社)

「ユーザーときちんと向き合うことが何よりも大事だ。ユーザーの動きを丁寧に見つめ、提供する情報にこだわりを持ち、自分たちが作るサービスをどうしていきたいか、運営・制作に携わるメンバーひとりひとりが考えを持たなければならない」(N社)